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堀江栞「かさぶたは、時おり剥がれる」The Scab Comes Off
2023.11.18- 12.23

会場|√K Contemporary(東京都新宿区南町6)

Hours:11am - 7pm
Closed:日曜・月曜 /Sundays, Mondays 

主催|√K Contemporary
後援| 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ

photos by Naohiro Tsutsuguchi​

「かさぶたは、時おり剥がれる」


あることをきっかけに、絵が描けなくなった。
自分がもっとも大切にしているものと、それに携わるひとたちが怖くなった。


私にとって、絵を描くというのは、岩絵具に触れることである。
紙にひとつの色を置くと、その先の見えない色が浮かんできて、
知らないうちにどんどん手が動いていたあのころに戻りたい。
気づけば、絵具の瓶には埃が溜まっていた。


辛い記憶にのまれそうになる。なんとか筆を握らなければ。
濁りを洗い流すような水彩絵具の軽やかさに励まされ、傷口がこれ以上開かないよう、蓋をする。
ただそれだけを繰り返しているうちに、小さなかさぶたの束が手元に残った。


差しのべられる手に、光が見えた。
傷が癒えなくても、私にはできることがあるはずだ。
一年半ぶりに、懐かしい絵具を手に取った。
原点に戻って、絵で立ち向かうために。


堀江栞

ステートメントかさぶた

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本展のタイトルは、「群像」(講談社)2020年7月号に掲載していただいたエッセイからとりました。

このエッセイは画集『声よりも近い位置』(小学館、2022)に収録されており、

画集は会場でも取り扱っていただいております。

開催概要、および展示作品は、展覧会特設ページからご覧ください。

​展評・関連インタビューほか

かさぶた関連メディア
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